岩渕先生の部屋ドライマウスの分類と原因・症状

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分類と原因

広い意味でのドライマウスは、“水分が減った人”と、“唾液が作れなくなった人”に分けることが出来ます。

ドライマウスの分類と原因の図

“水分が減った人”
“水分が減った人”は唾液を作る能力は正常なのに、体の水分が減ってしまったために口が渇く人です。例えば、暑い日に運動をすれば汗をかき、口が渇きます。この場合、水分を補給すれば口の渇は治りますので唾液の分泌が悪くなった訳ではありません。唾液を作る能力は正常なのです。これが“水分が減った人”です。
病気としては糖尿病や尿崩症などがあります。この方々は病気のために尿がいっぱい出過ぎてしまうために体の水分が少なくなり口が渇くようになります。また、透析を行っている方も体の水分を体の外に出してしまうので口が渇きます。お薬の影響で体の水分が減ってしまうこともあります。心臓が悪かったり、足にむくみがあるために尿を出す利尿薬という薬を服用している方がいます。このような方々も体の水分が減ってしまうために口が渇くようになるのです。
これとは別に体全体ではなくて、口の中だけの水分が減ってしまう場合があります。口呼吸をしている方などがこれに当たります。鼻が悪かったり、いろいろな原因でいびきをかいたりしている方は寝ている時に口を開けている可能性があります。夜だけ口が渇く方はこの可能性があります。

“唾液が作れなくなった人”
次に“唾液が作れなくなった人”についてお話します。これは唾液を作る能力が低下している方です。
もっとも良くあるのが加齢によるものです。年齢とともに唾液を作る能力が低下してきます。しかし、一般的に女性の場合は70歳台後半にならないと能力が低下してこないと言われています。それに加齢による場合は少しずつ唾液が減少するので、通常は症状が出てきません。例えば、「いつからお顔に“しわ”ができましたか」と訪ねてもいつからと答えられる方は少ないと思います。昔の写真と見比べて始めていつからと答えられるのではないでしょうか。加齢による唾液の減少も長い年月かけて進行してくるので気が付かないのです。
次には薬による副作用です。血圧を下げる薬や安定薬、頻尿の薬、アレルギーの薬などには唾液の分泌を抑えてしまう副作用があります。これらのお薬はかなりの方が服用しています。
他には炎症や腫瘍などにより唾液腺が障害を受けて唾液を作る能力が低下することもあります。また、極度のストレスや更年期障害でも唾液の分泌が悪くなります。さらに放射線治療や抗がん薬の使用などがん治療の副作用で唾液を作る能力が低下することもあります。
さらに、最近話題の病気としてシェーグレン症候群があります。この病気は免疫機能の異常で起こります。免疫とはご存じのように病気などの外敵から体を守る働きをしています。風邪をひいても自然に治るのはこの免疫が風邪のウイルスなどを退治してくれるからです。その免疫がある日突然、間違いを起こすのです。外敵ではなく、自分の健康な体(唾液腺など)を攻撃して機能しなくしてしまうのです。この様な病気を自己免疫疾患といい、仲間には甲状腺の病気や関節リウマチなどがあります。お口の渇きを訴えて当科を来院された方の約50%の方はこの病気です。

症 状

初期の症状としては「口が渇く」、「口の中がネバネバする」などがありますが、このころはまだ自覚がない方が多いようです。それが次第に「舌(ベロ)がザラザラする」や「舌が痛い」、「入れ歯が合わない」、「味がよく分からない」などという症状に変わってきます。私のところを受診される方はこの頃が大変多いです。ですから大部分の方は自分がドライマウスとは自覚していません。一見、口が渇くことと関係なさそうなこれらの症状を見逃さないことが大切です。また、ドライマウスの進行によっては舌の表面がツルツルになってしまったり、ほっぺたの粘膜が赤くただれたり、口角炎などがみられるようになります。そして大切なことは虫歯が増えたり歯周病が進行したりします。これらにより口臭が強くなることもあります。

シェーグレン症候群の場合にも口の渇きやネバネバ感、舌の痛みやザラザラ感、また「乾いたものが食べづらい」、「味がよく分からない」などの症状がみられます。でも、この病気がただのドライマウスと違うのは口以外にも目、鼻、のど、皮膚なども乾燥することです。目がごろごろしたり乾いたりします。また先に話したように関節リウマチなどの膠原(こうげん)病や他の自己免疫疾患を合併することもあります。

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