豊福先生の部屋舌痛症(glossodynia)の原因

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舌痛症の原因は不明とされていますが、以上のような臨床所見や治療に対する反応から、口腔内の異常感や疼痛などはセロトニンやノルアドレナリンなど「脳内神経伝達物質系の異常」によるものではないかと推測されています。

抗うつ薬への治療反応性はそれらを裏付けています。
私たちは、本症の病態仮説として、口腔の感覚神経が「電話回線の混線」を起こしているようなものといった例え話をします。

この感覚神経の「混線」は、睡眠不足や疲労などによってしばしば増悪することを説明しますと、患者さんは「確かにそういう時は調子が悪い」と腑に落ちるようです。

従来、舌の痛みは何らかの刺激(口内炎などのキズや火傷など)が原因で生じるもので、そのような刺激がない状態での痛みは異常と考えられてきました。しかし、最近の脳科学の知見によると、脳は全く外部入力(外からの刺激)がなくても知覚経験を創造できることが明らかになっています。このような痛みは中枢神経系のかなり高次の部分、すなわち知覚回路(自分の体の状態をモニターしているところ)を通る電気信号の流れが変化することによって引き起こされるのではないかと考えられています。

身体医学的にも精神医学的にも説明できない口腔症状の図

ある患者さんは「気にするから痛いんじゃあないんです。いくら考えないようにしても、痛いから脳が考えてしまうんです」と述べています。

最近、脳の機能的画像研究から、本症患者は健康な人に比べて前頭葉と後頭葉の血流低下が認められ、逆に視床や帯状回で血流増加が認められたという報告があります。このような所見から、本症の生物学的背景として「口腔内の感覚および認知に関する高次脳機能の障害」が関与している可能性があると考察されています。

治療前後の脳血流量の比較の図

舌痛症(glossodynia)の病態仮説の図

従来、真面目で我慢強いといった性格傾向や癌恐怖なども本症患者の心理的特徴とされています。しかし、これらの徴候も患者さんの神経回路網の特性や感覚中枢からの突き上げによる前頭葉機能の変容や障害という面で捉えなおすと、より明確に説明可能になっていくのではないかと考えられています。

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