篠原先生の部屋唾液について

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ドライマウスは、主に唾液の分泌量が低下することで起こります。そこで、まずは唾液について説明します。

1.唾液腺の種類と唾液の性状

唾液は、大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)と小唾液腺(口唇腺、口蓋腺、頬線など)から分泌されます。唾液の90%以上は大唾液腺から分泌されます。

唾液腺には、いわゆるサラサラの唾液を分泌する漿液腺とネバネバとした唾液を分泌する粘液腺があります。

唾液腺には、いわゆるサラサラの唾液を分泌する漿液腺とネバネバとした唾液を分泌する粘液腺があります。

2. 唾液腺の神経支配

唾液線からの唾液分泌は、自律神経(交感神経、副交感神経)の二重支配によってコントロールされています。
交感神経の興奮によって、神経伝達物質のノルアドレナリンが分泌され、アドレナリン受容体に結合すると、アミラーゼなどの唾液タンパク質が分泌されます。副交感神経の興奮では、アセチルコリンが分泌され、ムスカリン受容体に結合すると、血漿成分中の水が唾液として分泌されます。

唾液の性状は心理状態によって変化します。

3. 唾液の分泌量と分泌動態

唾液の分泌量

正常人の1日の唾液分泌量は、1,000〜1,500mlといわれています。唾液の多くは大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)から分泌されます。

腺分泌量:
耳下腺:35 〜45%、顎下腺:45 〜55%、舌下腺:5%、小唾液腺:5 〜8%

刺激時(咀嚼時)唾液:
耳下腺:60%、顎下腺:31%、舌下腺:2%、小唾液腺:7%

無刺激状態での唾液分泌量(安静時唾液)は0.05ml/min/gland以下で、多くは顎下腺から 分泌されます。

安静時唾液量:
耳下腺:20%、 顎下腺:65%、舌下腺:8%、小唾液腺:7%

刺激時(咀嚼時)は10倍以上に増加します。

成人の1日の唾液分泌量は個人差が大きく、正常人でも3倍位まで量の変動がみられます。

唾液の分泌動態

刺激時唾液:耳下腺が主体
摂食を容易にするために分泌されます。分泌速度が速く、粘度は低いという特徴があります。

安静時唾液、睡眠時唾液:顎下腺が主体
粘膜表面の保護のために分泌されます。分泌量は刺激時の1/10くらいで、分泌速度が遅く、 粘度は刺激時唾液の2〜3倍です。

安静時唾液が40〜50%減少するとドライマウスを発症
→ドライマウスの発症には顎下腺の機能が深く関与

4.唾液の働きと成分

唾液の働き(口腔内)

  1. 咀嚼・嚥下の補助作用 :水、ムチン
  2. 溶媒作用 :水、ガスチン(亜鉛結合蛋白)味蕾の発育に関与
  3. 洗浄作用 :水
  4. pH緩衝作用 :重炭酸塩、リン酸塩(炭酸脱水酵素、尿素)、唾液には重曹緩衝系とリン酸緩衝系との2種類の緩衝作用がある
  5. 歯および粘膜への作用 :カルシウム、リン酸、ムチンの保護作用

唾液の働き(全身)

  1. 消化作用 :唾液アミラーゼ(プチアリン)
  2. 談話および発声の円滑作用:水、ムチン
  3. 抗菌作用:ペルオキシダーゼ、リゾチーム、ラクトフェリン、分泌型IgA抗体、ヒスタチン(カンジダ菌抑制)、シスタチン、ヒスタチン(蛋白分解酵素)、スルピイ(エイズウイルスの白血球への感染防止)
  4. 排泄作用:鉛、ビスマス、銅、水銀、ヨード、化学物質、薬物
  5. 内分泌作用:パロチン、上皮成長因子(EGF) 、インスリン様成長因子(IGF)
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