中村先生の部屋ドライマウスの原因

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  表2に日本口腔内科学会で示されたドライマウスの分類を示しますが、ドライマウスは種々の原因で生じます。少し専門的になりますが、原因によって分類すると、「唾液腺自体の機能障害によるもの」、「神経性あるいは薬物性のもの」、「全身性疾患あるいは代謝性のもの」の3つに大別することができますが、これらの中で実際に問題となるのは、口腔の乾燥が慢性的あるいは持続的に生じる場合です。
  唾液腺自体の機能障害によるものとしては、外分泌腺が特異的に障害を受ける膠原病の1つであるシェーグレン症候群によるものが第1に挙げられます。その他、放射線治療と加齢性変化による唾液腺障害も重要です。特に、加齢性変化は誰にでも起こるものですし、長い年月をかけて徐々に生じるために気付きにくいので、80歳頃になると注意が必要です。
  神経性あるいは薬物性のものとしては、抑うつ、ストレスなどの精神状態や抗不安薬、抗うつ剤、降圧剤などの薬物によるものが多く、唾液分泌に関わる神経系が抑制されることが原因とされています。ドライマウスの分類の中では最も頻度が高いです。
  全身性疾患あるいは代謝性のものとしては、脱水などによる全身的な水分欠乏、貧血、糖尿病、腎障害などの全身性疾患によるものが主なものでが、口呼吸、過呼吸、開口、摂食嚥下障害などに伴って、口腔内の水分が蒸発して生じるものも含まれます。この蒸発性のものは、超高齢者社会である日本では患者さんは少なくないので、注意を払うべきです。
  なお、口腔乾燥感を始めとしたドライマウスに特徴的な自覚症状があるものの、唾液分泌の減少も実際の口腔内の乾燥もみられない心因性の場合も少なくありません。その場合は歯科心身症の一つとみなされます。

表2:口腔乾燥症の分類(日本口腔内科学会)

  ドライマウスの原因の中で最も重篤な症状を引き起こすのがシェーグレン症候群であり、免疫システムの異常により生じる疾患と考えられています。「免疫」とは、文字通り「疫から免れる」ための生体の防御機構を指し、本来はウイルスなどの外敵から体を守り、病気にならないよう働いています。ところが、間違って自分の体を攻撃してしまう自己免疫反応が生じることがあり、これによって引き起こされる病気を自己免疫疾患といいます。良く知られている自己免疫疾患には慢性関節リウマチや強皮症などがあります。本症候群に関する詳しいことは最後の項で解説しますが、自己免疫疾患の病因や発症機序は完全には解明されていないのが現状です。しかし、治療法は格段に進歩していますので、治療効果をあげるためにも早期診断・早期治療が重要です。

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