中村先生の部屋ドライマウスとは

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  ドライマウスは「乾いた口」という意味の英語ですが、日本語では従来から口腔乾燥症と呼ばれています。本来は口が乾いた状態を示す「症状名」ですが、慣用的には口腔の乾きを生じる種々の病気を含めた広義の「疾患名」として用いられています。そのために、ドライマウスという疾患には成り立ちが異なる種々の疾患が含まれています。

  いずれにしても、ドライマウスは唾液の量が不足したり、性状が変化したりして生じるものです。表1に示しているように、唾液は多くの役割を果しています。そのため、唾液が減少すると、「口の渇き」だけでなく、「長い時間話しにくい」、「乾いたものが食べにくい」、「食べ物が飲み込みにくい」、「舌が痛い」、「舌がザラザラする」、「味がよく分からない」、「入れ歯が合わない」、といった様々な症状がみられるようになります。

表1:唾液の役割

  ドライマウスは古くから知られていましたが、診断や治療が難しいために、積極的に取り上げられることはほとんどありませんでした。そのために、従来はドライマウスに対応できる医療機関は少なく、患者様はどの病院にかかれば良いのか分らずに困っていました。最近、眼が乾くドライアイが注目されるようになり、それと共にドライマウスに対する社会的な関心も高まってきました。また、ドライマウスを生じる代表的な疾患にシェ−グレン症候群があり、この疾患は医科の広い領域で注目されています。その理由は、本症候群になると口腔や眼の乾きを生じるだけでなく、全身に多彩な症状が出現することもあるからです。このような社会的背景もあり、1991年に日本シェーグレン症候群研究会が発足し、2009年には日本シェーグレン症候群学会となり、内科医、歯科医、眼科医などが集って毎年1回の学術集会を開催しています。私も理事の一人ですが、学術集会では各科の先生が活発に討論して交流を深めており、SS-info.net/シェーグレン症候群情報サイトの開設などの種々の活動も行っています。また、国際的にも注目されていて、定期的に国際シェーグレン症候群シンポジウムも開催されています。このような活動の成果もあり、ドライマウスの診断や治療の方法は飛躍的に進歩してきました。

  ドライマウスは口の異常ですので、口腔のエキスパ−トである歯科医がドライマウスを正しく理解し、適切な診断および治療を行うことが必要だと思います。そのために、私たちは2002年に日本ドライマウス研究会を設立し、歯科医などを対象に講習会を定期的に開催してきました。2017年までに28 回の講習会を開催し、今では多くの歯科医がドライマウスの患者様を適切に治療できるようになりました。

  この部屋では、ドライマウスを生じる種々の原因を概説し、その後に、代表的疾患であるシェ−グレン症候群を中心に、症状、診断、治療、さらには最新の研究成果について解説します。

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